2019年09月18日

たおやかな曲線 (20)

自分の物を手に掴み弄ぶことを、大抵の男の児たちは、思春期に自然と身につけてしまうものだ。
しかし、茂の場合はそうなる前に、或る体験が因で、手淫という自慰の性癖に抑制が掛けられる傾向があった。
その体験なるものについては、いづれ茂本人の口から語られることになるだろう。今は茂の苦しい格闘のことを述べねばならない。
茂は左手で己の勃起した物を握った。熱く火照った太棹は、伸びるだけ伸び尽くして、片手に余る大きさを得て、先端の亀頭を誇らしげに曝け出している。皮を脱いで敏感になっている、そのつるつるした肉の先端を、上から覆うように右手にすっぽり包んだ。そして右手の指を全部、亀頭の笠の下に当ててから、そのまま窄めるような動きでさっと擦って外し去る。この動作を二、三度繰り返すうち、亀頭はぎんぎんと張り詰めてきて、痛いほどに真っ赤に膨れてくる。ここで怯まずに、右手で作った環を、亀頭を中心に肉茎全体に嵌め、激しいピストン運動で摩擦の刺激を加える。
快感が襲って来る。だが、その快感を頂点まで昂らせようとしても、なかなかそこに至るまで持続せず、快感はやがて単調な痛みに変わってしまうのだった。
手を止めて亀頭を見ると、赤い色に染めあげられたようになってビンビンと上下に揺れている。勃起を促す力の源は依然として強盛で、男根の根元でエンジンを全開にしている。茂は格闘に疲れ、両手を洗面台に突いて、長い吐息を洩らした。
暫くその姿勢のまま息が整うまで待った。
ややあって、洗面所のドアをノックする音がした。波江の心配そうな声が掛かった。
「坊っちゃん、大丈夫ですか? 長くかかっているようですが、まさかお風呂場で倒れていらっしゃるんじゃありませんね? お返事してくださいませんか・・・」
茂はもうはや、波江にまた裸を見られようと構わない気持ちになっていて、自分からドアに進んで行って開けるなり、たたみ掛けるように波江に告げた。
「大丈夫、倒れたりはしないが・・・、ね、これを見てよ、何をしても全然鎮まってくれないんだ」
若者は破れかぶれの気分で、股間の前を隠そうともせず、目の前の女に見せつけた。



(続く)






























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2019年09月12日

たおやかな曲線 (19)

「とにかくこのままではいけないから、居間で横になって休んでください。さあ、僕の肩につかまって・・」
茂は波江の腋に腕(かいな)を差し入れて扶け起こし、波江の片腕を自分の肩に背負い込んで、ゆっくりと立ち上がる。
波江の柔らかな肉体が、茂の体側にずしりとした手応えで接してくる。
波江はおもむろに体重を自分の両脚に委ねながら茂の肩につかまり、その場で自力で足を動かせるかどうか、足元を見つめて二、三度静かに足踏みしてみる。すると、茂の勃起した物が直ぐ自分の目の下に息づいている様が、否応なく視界に飛び込んで来る。
さきほどよりもなお一層身近にそれを見て、波江の身内は、かっと熱くなった。
ただそれでも何とかそうした自分の気持ちを取り繕うように顔を上げ、茂の顔を虚ろな目で見やって、慌しく、「坊っちゃん、もう大丈夫ですから・・・わたし独りで台所まで・・歩いて行けますから・・・」と繰り返し言うのだった。
茂さん、と呼ぶところを、何かためらわれるのであろうか、以前の、坊っちゃん、という呼び掛けに戻ってしまった。
それはこの衝撃的な男根の映像によって波江の心に萌した淫蕩な気分に抗おうとする、精神の反作用とでもいうものなのだろうか。茂との間に、主従のけじめという太い一線を自ら改めて確認し、それを自分自身に言い聞かせようと、震える心の指でなぞり直す意思の表れなのかも知れない。
茂は波江の足取りがしっかりと安定しているのを見て、さほど心配することはなさそうだと見極め、波江の言う通り、居間ではなく台所へ向かって、波江と肩を並べて歩み進んで行った。
台所に入ると、いつも波江が休憩用に使っている腰掛けに、支えながらそっと座らせた。波江はその間、終始顔をそむけ、茂の躰に目が行かないようにしていた。茂が、「しばらくここで休んでいてくださいね。僕はちょっとシャワーを浴びて来るから」と言葉を掛けると、波江は俯いたまま無言で頷いた。
茂は洗面所に戻り、浴室でシャワーを浴びる。刺激を与えないように、そそり立った肉の棒を慎重によけながら、やや強めの水量を躰に打ち当てる。最後に、弱い水勢にして冷たい水のシャワーで、静かに一物を洗う。
洗面所に出て、タオルで躰を拭き清める。シャワーを浴びてから躰を拭き終わるまで、およそ十分くらいの時間が経過したであろう。だが、硬い棒のように突き出ている物は一向に力を失わず、エンジンを全開にしてそそり立ったままである。もうこうなれば手を使って無理やり射精を果たすしかない。茂は手淫が好きではないので気が向かないが、仕方がない、最後の手段であると思いあきらめた。



(続く)





























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2019年09月05日

たおやかな曲線 (18)

彼はこの時、おととい波江が語ったことをすっかり失念していたのである。
それで素裸のまま二階のトイレで小用を足したものの、なお硬度が衰えぬ槍のように突き出した物を覆うでもなく、素肌に空気を切る快さを感じながら階下に降りて行った。
洗面所で歯磨きと洗顔に取り掛かろうとするその前に、大鏡に映った己の裸体に目を遣った。若者らしく引き締まった肉体の真ん中に、男のシンボルはただただ若さゆえという原因のために猛々しく反り返って、自分勝手に偉容を誇っているように見えるが、茂にしてみれば、その偉容は何の当てもなく虚しいばかりで、却って滑稽にすら見えるのである。
そしてそれは全く鎮まろうとする気配も無く、じんじんと熱く火照った亀頭を、依然として勢いよく中空に突き立てている。
茂は暫く眺めてから、まず洗顔を済ませて歯ブラシを手に取り、おもむろに歯磨きを始めた。
歯を磨いている最中だった。突然、洗面所のドアがさっと開いた。
大きく見開かれた波江の驚愕の目と、呆気に取られた茂の目とが搗(か)ち合った。
一、二秒のことであったろう。だが二人には、それ以上にもっと長い時間に感じられた。
波江の瞳は、はっとしたその一、二秒の間に、すんなりした若者の健康な裸体と、そしてその中央に聳え立った禍々しいほどの力と形を呈した男根とを、網膜に刻み付けてしまった。
均整の取れた美しい肉体から生え出た悪魔の角の如き、肉の槍の隆々としたどぎつさに大いなる衝撃を受けた女は、次の刹那反射的に、顔をそむけ躰を捩って逃げようとするも力が入らず、腰が砕けたように、その場にへなへなとしゃがみ込み、ついにぺたりと尻をついて動けなくなってしまった。
若者は女に颯と近づき、思わず肩に手を置いて、「波江さん、大丈夫? ・・御免、日曜だから気ままに過ごそうと、こんな恰好で。・・あなたが今日の休みを返上したこと、つい忘れてしまった・・・」と、しどろもどろに謝るのだった。
波江は顔を俯けたままになって、近寄って来た裸の茂に目を上げることもできず、恥ずかしさをごまかすように、茂と同じようにしきりに釈明に努めようとする。
「すみません。こちらに参りました時にシャッターが閉まっているのが見えたものですから、まだお休みかと思いまして、勝手口を入って一応ご挨拶の声をお掛けしたのですが、ご返答がありませんでしたので、てっきりまだ上でお休みかと思い込んでしまって・・・。それでわたくし、うっかりノックもしないで、ここのドアを開けてしまいましたの・・・」
茂はなおも詫びようとする波江の言葉をさえぎった。
「いや、僕が悪いんだ。・・波江さんが一昨日(おととい)あんなに念を押して、今日の事を言っておいてくれたのに、すっかり失念して・・・。そのうえ、こんな醜態を、あなたに曝して・・・」
羞恥で真っ赤に染まった波江の頬を見て感激したためか、こういう恐縮の言葉を掛ける茂ではあっても、心はいっそう昂って、彼の怒張した肉棒はかちかちに突っ張ったまま全く恐縮する様子は無い。さっき波江に目撃されたことといい、その波江が今も娘のように恥じて赤くなって身を震わしていることもあって、それはますます奮いたち、勢いづいて、当の茂を窮地に追い込んでいるような具合となっている。



(続く)
































posted by maimizu-koh at 17:30| Comment(0) | 小説 | 更新情報をチェックする