2019年09月12日

たおやかな曲線 (19)

「とにかくこのままではいけないから、居間で横になって休んでください。さあ、僕の肩につかまって・・」
茂は波江の腋に腕(かいな)を差し入れて扶け起こし、波江の片腕を自分の肩に背負い込んで、ゆっくりと立ち上がる。
波江の柔らかな肉体が、茂の体側にずしりとした手応えで接してくる。
波江はおもむろに体重を自分の両脚に委ねながら茂の肩につかまり、その場で自力で足を動かせるかどうか、足元を見つめて二、三度静かに足踏みしてみる。すると、茂の勃起した物が直ぐ自分の目の下に息づいている様が、否応なく視界に飛び込んで来る。
さきほどよりもなお一層身近にそれを見て、波江の身内は、かっと熱くなった。
ただそれでも何とかそうした自分の気持ちを取り繕うように顔を上げ、茂の顔を虚ろな目で見やって、慌しく、「坊っちゃん、もう大丈夫ですから・・・わたし独りで台所まで・・歩いて行けますから・・・」と繰り返し言うのだった。
茂さん、と呼ぶところを、何かためらわれるのであろうか、以前の、坊っちゃん、という呼び掛けに戻ってしまった。
それはこの衝撃的な男根の映像によって波江の心に萌した淫蕩な気分に抗おうとする、精神の反作用とでもいうものなのだろうか。茂との間に、主従のけじめという太い一線を自ら改めて確認し、それを自分自身に言い聞かせようと、震える心の指でなぞり直す意思の表れなのかも知れない。
茂は波江の足取りがしっかりと安定しているのを見て、さほど心配することはなさそうだと見極め、波江の言う通り、居間ではなく台所へ向かって、波江と肩を並べて歩み進んで行った。
台所に入ると、いつも波江が休憩用に使っている腰掛けに、支えながらそっと座らせた。波江はその間、終始顔をそむけ、茂の躰に目が行かないようにしていた。茂が、「しばらくここで休んでいてくださいね。僕はちょっとシャワーを浴びて来るから」と言葉を掛けると、波江は俯いたまま無言で頷いた。
茂は洗面所に戻り、浴室でシャワーを浴びる。刺激を与えないように、そそり立った肉の棒を慎重によけながら、やや強めの水量を躰に打ち当てる。最後に、弱い水勢にして冷たい水のシャワーで、静かに一物を洗う。
洗面所に出て、タオルで躰を拭き清める。シャワーを浴びてから躰を拭き終わるまで、およそ十分くらいの時間が経過したであろう。だが、硬い棒のように突き出ている物は一向に力を失わず、エンジンを全開にしてそそり立ったままである。もうこうなれば手を使って無理やり射精を果たすしかない。茂は手淫が好きではないので気が向かないが、仕方がない、最後の手段であると思いあきらめた。



(続く)





























posted by maimizu-koh at 17:05| Comment(0) | 小説 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
コチラをクリックしてください